牛車道
別子の繁栄につれて山に働く人々の数は年と共に増加し、それだけに必要物資の輸送も日々長大した.しかし車や
馬を利用することのない当時に於いては、物資の輸送は、凡て仲持ちに依存するより他に方法はなく、そのために銅
山街道は、毎日数百人の仲持ち行列が後から後から続くのであった。でも男子12貫、女子8貫の運搬量では別子銅
山数千人に及ぶ人達の糧食その他、物資の輸送は勿論、産出銅の搬出にも不都合のことが多く、いよいよ困難を極めた。
ここに於いて幕末の頃から明治初年に亘って別子銅山の経営に心血を注いだ広瀬宰平翁は、この輸送問題を解決す
べく努力し、明治8年に工を起こして、牛車道を築造し、新居浜の口屋から別子銅山本舗まで艇々、実に7里(28km)
約5年有半の歳月を費やして、明治13年、この牛車道を完成したのであった。(第一期新居浜立川、第二期立
川別子)。然し迂回に迂回を重ねたこの牛車道は、片道2日間、往復4日を要するというものであった。故に7里の道中
には、この牛車の宿泊すべき宿場が設けられた。即ち新居浜のロ屋(浜宿)を出て、立川元作の中宿、石ヶ山丈、岩屋
谷、角石原等の中宿を経て別子の本舗、即ち目出度町に達していたもので、よく肥満した近江産(滋賀県)の女牛、
数十台に及ぷ牛車、ぎいぎい、ことんことん、車のきしる音、それも別子の名物の一つであった。
牛車が出来て後も、生魚や野菜、呉服物、その他の物品を商う人々が、背に荷を負い、或いは担いで、次々に別子
の山に登って行くのであった。
別子銅山(合田正良著)226ページ
明治13年(1880)に完成した目出度町から銅山越、角石原、石ケ山丈、立川中宿、登り道を経由して新居浜口屋へと至る
全長約28`bの牛車道は、ラロックが提言し、廣瀬宰平が推進した別子近代化起業のうちのひとつでした。開坑以来の
仲持による人肩運搬路に代わる新車道で、搬送には廣瀬宰平の故郷近江の牛を使い、明治14年(1881)当時、18頭の
近江牛が従事していました。
牛車道の完成で、別子〜新居浜問の鉱石や物資輸送が大変便利になりましたが、後年の別子鉱山鉄道や索道の完成により
牛車道の重要性は薄れ、明治26年(1893)に牛車運搬は廃止されました。
現在、旧別子側の牛車道跡は登山道として、また、新居浜市側立川町付近の牛車道跡の一部は舗装され周辺住民の生活道
として利用されており、石ケ山丈付近の牛車道跡の一部は林道などに利用されながら残されています
歓喜の鉱山91ページ
明治14年 粗銅や物資を運ぶ牛車の発着風景 現在 口屋跡記念公民館 となっている 後ろに見える松の木は現在も 枝葉を伸ばしている。 |
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勘場(鉱山出店)の上方風呂屋谷の牛車道である。幾重にも湾曲した、なだらかな傾斜道であったが、 人物の大きさと比較していかに大きい道であったかがわかる。(住友史料館報28 71ページ) 明治14年撮影 牛車道が完成したのは明治13年だから 完成直後の写真となる。草木が生えてない |
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別の所から撮影した写真ですが Aは同じ家だとわかる Bも同地点で C付近に歓喜坑がある | |||
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牛車道は全線歩ける訳ではない。角石原から銅山峰までは、ほぼ形跡が残っていない。 銅山峰から一部分は登山道として利用されているが、藪になっていたり形跡が残っていない 所が多い。口屋から立川まの道は多少の変更があるかもわからないがコースをたどることが出来る 立川から石ケ山丈までは生活道路や林道に姿を変えている。石ケ山丈から角石原は上部鉄道に 姿を変えている。上記の赤い線は牛車道であり形跡の残っている所は足で確認している。 |
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牛車道って何処から何処まで? 本を調べていると面白い事がわかった 歓喜の鉱山91ページ 目出度町から銅山越、角石原、石ケ山丈、 立川中宿、登り道を経由して新居浜口屋へと至る全長約28`b 歓喜の鉱山25ページ 銅山峰から石ケ山丈を経て立川中宿まで 旧別子銅山案内11ページ 新居浜の口屋から別子銅山本舗までえんえん実に28q 別子300年の歩み20ページ 銅山峰から立川を経て新居浜に達する7里(約26キロメートル) 別子銅山226ページ 新居浜の口屋から別子銅山本舗まで艇々、実に七里(二十八km) 別子銅山のあゆみ7ページ 銅山峰から角石原、石ケ山丈を経て立川中宿へ至る牛車道が完成 翌年に自出度町から新居浜口屋へと至る全長約28kmの牛車道全線 立川 牛車道入口に立てられた案内板 目出度町から銅山峰・石ケ山丈を経由して立川中宿までの約20kmが完成 翌年から立川中宿から新居浜口屋までの約8kmが使用され別子山の目出度町から 新居浜口屋までの約28kmがが使用された |
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現在は登山道として利用されている。 | |||