落差600mは、当時東洋一と言われた
             現在の東平水力発電所の有効落差は599.70mで日本2位。
  
落差600m と、国内では例を見ない未経験の高圧水圧管の可否は、最も厳しい問題となる。
この頃別子では落シ水力発電所の水圧100m高水圧管を経験をしているが、600m の高水圧は未経験、未知の技術分野である。
水圧鉄管は単に鉄板を筒状に曲げ端部を接合しただけであるが、その接合は難題で、砲身建造に似る。解決には西欧での実績に頼る外に無く、アルプスでの高水圧鉄管の実績が、当計画の実施に踏み切らせたのであろう。
  電力土木木者の語る端出場水力発電所より
県道から少し登った所。(今は柵がある)台座と右側に作業用石段が続いている
 
水管が台座の部分だけ残っている。下に行くほど水管の厚みが増す。最厚31mm
メンバーに住友重機設計部OBの人がいて、細かく寸法を測っていた。
 標高530m 外径=780mm 厚=20mm   
   標高358m 外径=690mm 厚=33~35mm
水管は直線だが、真直ぐは登れない。
 
滑り台より急と思われる。登りはしんどい!。下りは危ない。  ここは、ほぼ水平
 
台座に乗っている水管とこの様にブロックになっている台座がある 標高443m 眼下にマイントピア別子が見える
 
牛車道との交差場所。下に水圧鉄管が通っている 水圧鉄管の切れ端。小間切れにして撤去した。
 
煉瓦の建造物は上部水槽です。 端出場発電所の水圧鉄管の始りです。板厚8mm
参考  東平水力発電所の水管
東平水力発電所の有効落差は:599.70m 水圧鉄管:内径145~860mm、板厚8~20mm 
 イメージとして、ほぼ似ている。
  
鉄管は、平鉄板を円形に曲げ加工する単純な管であるが、その継目が難しい。溶接技術は無い時代で鋲接もならず、簡単な様で至難。
当時の輸入鍛接管は平軟鋼を曲げ、端部を焼重ね合わせ接着するもので、通常接合効率95%。鍛接部は専門家でも判別し難いほど丁寧に仕上げていると言う。
昭和48 年、当所の鉄管撤去作業の際、作業者が当鉄管を鋳鉄管と疑った話がある。それ程に鍛接部が見分けられない精巧な接合である。
1本6m に加工した管の現地接合は、3番固定台より上部、水圧500m 以下では、マップ継手(入駕継手)。以下の部分ではフランジ継手を用いている。
     「電力土木技術者の語る端出場水力発電所」より抜粋